vol.18 新入社員は異星人?

2010.04.27 Tuesday

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    新入社員は異星人?1
    新入社員は異星人?2
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    Vol.18 新入社員は異星人?


    春が来た。うららかな陽ざしが降りそそぎスーパーの裏を流れる川の岸
    には桜や菜の花がここを先途と咲き誇って、まさに春爛漫である。
    新しい年度が始まり、どこの職場にも新入社員の姿が見られるようになった。
    なにもかもまだよくわからなくて、いちいち上司や先輩の指示を受けてはい
    るが、生き生きとして元気一杯に動き回っている。
    私達のスーパーにも、レジ係と鮮魚部に新入社員がやって来た。
    黄色いトレーナーとGパンに赤いエプロンをつけて、格好だけは忙しそうに
    店内を行ったり来たりしている。その姿を見るにつけ、若いっていいなあと
    つくづく思う。
    溌剌としている。話す声も大きいし、動きが速い。今、ここに居たかと思う
    ともうあちらの棚の前で商品を並べている。ああ、私もウン十年前はああだ
    ったと若き日の自分の姿を脳裏に思い浮かべたり、過ぎし日の懐かしい思い
    出に浸ったりして、ロートル組は仕事もなかなかはかどらない。困ったもの
    である。
           ◇  ◇  ◇
     お弁当箱やらお寿司のパックなどを納入する包装資材の会社にも、えらく
    でっかい新入社員が入社した。
    スポーツ刈りの威勢のいい若者である。担当者の春野さんに連れられ、たく
    さんのトレーが入った大きな袋をかついで初めて惣菜部へやって来た時は、
    皆、本当にびっくりした。
     とにかくでかい。春野さんも決して小さいほうではないのだが、並んで立
    つと新入社員の肩までしかない。190センチはありそうだ。
    「おはよーっす」と入り口をいったとたん、ゴンッと頭をかもいにぶっつけ
    た。
    「山本ですっ。よろしくっ」と最敬礼をしたら、ゴツンとおでこを流しの水
    切り棚にぶっつけた。厨房の中を歩くと、ガツンゴツンとひざやひじを調理
    台やフライヤーの角にぶつける。なにしろ図体が大きい上に元気が良くて動
    作が大きいから、狭い厨房の中ではぶっつかってばかりである。

     おまけにファッションがすごい。目が覚めるように鮮やかなショッキング
    ピンクのトレーナーの胸に赤や黄色や緑色のドハデで大きな絞りの模様がプ
    リントされている。
    からし色のズボンのお尻には久留米絣の大きなポケットが左右にペタンと貼
    り付けてある。派手を絵に描いたようなスタイルだ。
    ナウいと言うんだか、奇抜と言うんだか、紺色の作業服の春野さんと並んで
    いると別の星の生き物みたいに見える。
    おばさん達は口をぽかんと空けて見とれているが、新人は気にする様子もな
    くニコニコと笑っている。これも若さというものだろう。
     でも高い棚の上にトレーを納めるのにはまことに都合が良い。
    春野さんは椅子に乗らなければならないが、新人君は椅子なんかいらない。
    腕を伸ばしてひょいひょいとトレーの袋を棚に並べていく。これは文字通り
    「大型新人」だと、皆大喜びである。
           ◇  ◇  ◇
     三日間ほどは春野さんが付き添ってきたがやがて一人立ちして付き添いな
    しになった。
    「H−24を一袋」とか、「TM−40ヒノキを50枚」などと註文されると、
    いちいちカタログを広げて商品を確認し手帳に記入する。時間がかかること
    おびただしい。
    皆イライラするが、早く立派な営業マンになって店の役に立ってもらいたい
    のと、おばさん達は若い男の子に弱いという事情もあって辛抱している。
    「Z―91の弁当箱20枚入りを1個」と註文された時は、
    「わっかりましたー」
    と元気一杯に答えたのに、弁当箱を1個だけ持ってきた。
    「弁当屋に弁当箱1個持って来てどうすんの。20個入りをひとつって言っ
    たやろ!」と怒られて、
    「うへぇー、すぐ持ってきまーす」
    と飛び出して行ったが、出て行く時はちゃんと頭をかもいにぶっつけて行った。
     新人が一生けんめいに頑張る姿は微笑ましいものだ。失敗も多いけど、
    一日一日確実に成長していく様子が見える。奇抜なファッションにもますます
    磨きがかかり、今日は左の肩から右の腰にかけてギンギンギラギラと流れる銀
    河の柄のトレーナーである。
    初めのうちは、いちいち驚いていた服装にも最近は慣れて、今日はどんな恰好
    で来るのやらと楽しみに待つようになった。
    それは良いのだが、棚の上にトレーを納めている山本クンのトレーナーを眺め
    ていると、どうも袖付けの縫い代がはっきりと見えすぎる。
    目をこすってよくよく見るとトレーナーを裏返しに着ているのだ。おやおや、
    朝寝坊をしてあわてて服を着たんだろうと思って
    「山本さん、トレーナーを裏返しに着てるんじゃない?」
    と教えてあげた。山本クン答えて曰く、
    「ええ、きのう表を着ましたんでね。今日は裏を着てます」
    惣菜部のおばちゃん達、今日もまた空いた口が塞がらない。
           ◇  ◇  ◇
     ハデハデファッションで元気一杯に働いていた山本クンだったのに、ある
    日突然来なくなってしまった。かわりの人に
    「どうしたの」
    と聞いてみたら、交通事故を起こして入院してますとの事でびっくりした。
    ひどい事故だったらしく入院は長くかかりそうだと言う。あんなにでっかい身
    体で、寝られるベッドがあるのだろうかと心配だ。早く元気になってあちこち
    頭をぶっつけながら
    「毎度ッ」
    とやってくる日を皆待ちわびている。

     
    作 荒木紀代子 画 やまだしんご
    〔庶民が創る ふだん着の 《《投稿専門誌》》 アルファ企画 Vol.43 より転載〕


    お店のご案内は http://bigoak.jp/

    新緑の椋の木

    2010.04.24 Saturday

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      南関第一小学校の運動場の椋の木、正式には「大津山下ッ宮の椋」県指定天然記念物です。樹齢500年前後と推定されるそうです。
      卒業写真は、この木の前で写っています。新緑の椋の木

      関村のれんげ畑

      2010.04.20 Tuesday

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        南関町関村のれんげ畑がだいぶ咲いてきました。
        ここから大津山を眺めると、一番形良く見えます。
        大津山の右に見える山は、亀に見えるので「亀山」
        と呼んでいますが、正式には知りません。関村のれんげ畑

        vol.17 しゃーにっつぁん

        2010.04.20 Tuesday

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          しゃーにっつあん
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          vol.17 しゃーにっつあん


          「3月19日はしゃーにっつあんだ。みんながんばれよ」
           珍しく店長が惣菜部へハッパをかけに来た。
          「あーら、ほんなこつ。またがんばっておはぎば売らにゃんね」
          とみんなは答えるが、私には何のことだかさっぱりわからない。
          「しゃーにっつあんて何? それ、何のこと?」
           まるで英語かフランス語みたいだ。この町にそんなものがあ
          ったっけ。
          「あっはっは。ほんとは社日さんちゅうてね、土の神様のこと
          たい。種蒔きの時期になるとやって来て田畑ば見守ってくださると。
          そして秋の取入れが終わるとまた帰って行きなさると。だけん、
          春と秋の2回、神様の来なさる日と帰んなさる日を社日ちゅうて、
          お百姓さんが感謝を込めておはぎば供えるとたい」
           一番年長の部員が笑って教えてくれた。
          「補足するとな、神様はたかまがはら高天原の本社から出張して来
          なさるけん到着は夕方になる。だから春の社日には夕方神棚におは
          ぎを供えてお迎えする。秋は本社へ帰んなさるけん、朝おはぎを供
          えて神様を送るんだ」と、お百姓でもない店長が、えらく有難そう
          な顔で言う。
           はあー、高天原の本社から村の出張所へ神様が出張して来られる
          なんて、ほんと?
           何だかみんなにからかわれているようなきがするなあ。
                 ◇  ◇  ◇
           でも良い話だ。田畑の作物のすこやかな成長を見守ってやろうと、
          わざわざ出張して来てくれるなんて優しい神様だ。
          農家の人達はさぞかし心強く、うれしく思うことだろう。遠い遠い
          高天原からはるばるとやって来る神様に、心を込めておはぎを供え
          るというお百姓さん達の素朴な信仰に、何だか胸の奥があったかく
          なって来た。
           この優しい神様のことがもっと知りたくてインターネットで調べ
          てみると、社日とは神社が執り行うお彼岸の行事だとある。
           日本の民族行事は、平安時代の末期ごろからお寺系と神社系に分
          離されるようになり、お盆はお寺、正月は神社、子供が生まれた時
          は神社、死んだ時はお寺というふうに役割が分担されてきた。お彼
          岸という行事も、本来は仏教、神道共にあまり関係なかったらしい
          がお彼岸の中日にはお寺での供養という流れが出来てきたので、神
          社では社日というのを設けて神社でのお彼岸の行事をするようにな
          ったのだそうだ。
           社日は現在、春分秋分に最も近い戌の日と定められている。農業
          のスケジュールでいくと、だいたい春社が種蒔きの時期、秋社が収
          穫の時期で、農村ではこれに合わせて餅をついたり神社にお詣りし
          たりといったことが行われていたのだそうだ。
          長い年月の間に人々の意識も変わって、社日イコール農作を司る神
          様として信仰されるようになったのだろう。
                 ◇  ◇  ◇
           しかし、お供え物がおはぎというのが面白い。社日さんは甘党な
          のだろうか。
          私は張り切ってお菓子やさんへおはぎを注文するための発注書の作
          成にとりかかった。
           もち米のおにぎりをあんこで包んだ正統派のおはぎ、あんこの入
          ったおにぎりにきな粉をまぶしたもの、青のりをまぶしたもの、小
          さく作ったおはぎを3個串に刺した串団子みたいな形のもの、大き
          いの小さいの、まん丸なもの平べったいもの、おはぎもいろいろで
          ある。
          このおはぎを百個、これを80個、こちらを50個と、発注書に数
          字を記入していきながら、これらのおはぎを山のように積み上げて
          「今日は社日です。おはぎのご用意はお済ですか」
          とお客さんに呼びかけている自分の姿を想像していたら、胃袋のあ
          たりが重苦しくなって来た。
          もともと私は甘党でおはぎは大好きだが、こんなに大量のおはぎに
          取り囲まれて何時間かを過ごしたらもう、おはぎを見るのも嫌にな
          りそうな予感がする。
          ぼたもち怖いという昔話があったけど、いや、饅頭怖いだったかな、
          私もそんなふうになりそうな気がして来た。ああ、3月19日が思
          いやられる。

           
          作 荒木紀代子 画 やまだしんご
          〔庶民が創る ふだん着の 《《投稿専門誌》》 アルファ企画 Vol.40 より転載〕


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          大津山は 三段腹?

          2010.04.08 Thursday

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            雨上がりの朝、南関第一保育園へ給食用品の配達に行くとき、ふと大津山を見上げたら、山懐から霧が昇り、山ひだをくっきり浮き出しました。遠くから見て、一つの山と思っていましたが、三段腹だったんですね。大津山は 三段腹?