Vol.34 9月9日は99の日

2010.09.07 Tuesday

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    9月9日は99の日
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    作 荒木紀代子 画 やまだしんご

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    Vol.33 地産地消、地元の野菜

    2010.08.24 Tuesday

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      地産地消、地元の野菜
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      作 荒木紀代子 画 やまだしんご

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      Vol.32 地球にやさしく

      2010.08.17 Tuesday

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        地球にやさしく
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        Vol.31 大型台風襲来す

        2010.08.10 Tuesday

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          接客研修会1
          接客研修会2
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          Vol.31 大型台風襲来す



          「大型で強い勢力を持った台風18号は、鹿児島の南150キロの海上にあり、
          毎時5キロの速さで北上中・・・・・」
          テレビの台風情報は、もう聞き飽きた同じセリフを何回も繰り返している。

          画面には荒れ狂う海と吹きまくる風の映像が、
          これでもかという程に映し出され、
          進路予想図上の台風はまっすぐにこちらを向いている。
          この分では明日の夜には間違いなく有明海に接近し、
          私たちの町を暴風雨の渦に巻き込んでしまうに違いない。

          天に向いて伸び揃っている稲穂はきっとドミノ倒しみたいになってしまうだろうし、
          実り始めた栗も梨も皆落ちてしまうだろう。
          お百姓さんの嘆きが目に見えるようだ。

          そしてお店は・・・・・・。私たちのスーパーはどうなるのだろうか。
          台風がこんなに怖いものだという事を、私はスーパーで働くようになって初めて知った。
          何よりも困るのが停電である。
          店内まっ暗で商売など出来はしないから、即、閉店せねばならない。
          一日の売り上げは全く期待できない上に、
          仕入れた当日売りの商品は駄目になってしまう。

          オープン冷凍ケースのアイスクリームや冷凍食品、
          鮮魚や精肉も一時間と保たずに溶けたり色が変わったりして
          売り物にならなくなってしまうだろう。
          そして、惣菜や鮮魚精肉の冷凍庫の中に山積みされている食材は、
          ドアを開けずにいれば七時間位はなんとか大丈夫だろうが、
          停電が長引けば溶解し始め、やがて使い物にならなくなってしまう。
          損害はしめてどの位になるものやら、
          恐ろしくて試算どころか想像する気にもならない。

          スーパーのおばさんになる前は、台風がやって来ると涼しくていいなあなどと、
          口には出さないが心の中で喜んでいた。
          きっと、そのバチが当たったんだと猛烈に反省した。
          それにしても、今年は何という台風の当たり年だろう。

          真冬の二月初めに第一号の台風が発生し、
          九月になったばかりなのにもう十八号である。
          つい先週も十六号の接近で、その時も停電に備えて水を汲み置くやら
          立看板を寝かして回るやら大騒ぎをした。
          毎週台風が来るなんて、全く冗談ではない。
               ◇  ◇  ◇
           店長がカートにどっさり古新聞を積んで、冷凍食品の売り場へやって来た。
          アイスクリームや冷食の上に、丁寧に新聞紙を重ねて置いていく。

          「店長。何をしてるんですか」
          「新聞紙は保冷効果が高いんだ。こうしておくと空気に触れないから、
          もし停電しても溶けるのが遅い」
          「ほー。そういえばホームレスさんが冬の夜身体に新聞紙を巻きつけて
          寒さを防ぐ話を聞いたことがあります」
          「そうだろ。私も若い時、冬の朝市場へ行くのにそうしたことがある」
           おやおや店長もホームレスもアイスクリームも、する事は同じという訳か。

          しかし、アイスや冷食を買いに来たお客さんは
          いちいち新聞紙をめくってみなければ商品が見えない訳で、
          さぞかし面倒なことだろう。

           こんな時、小さな店でも店長というのはしんどいものだ。
          店を開けるか開けないか、開けるとしたら何時にするか、
          従業員にはどの位動員をかけるか、停電の備えはどこまでするか、
          生鮮食品はどの程度並べるか・・・・・・何もかも自分が決めなくてはならない。

          冷静さをよそおっていろいろと指示を出しているが、
          頭の中では(これでいいんだろうか)という不安や心配が渦を巻いているのがわかる。
          本人は平然としているつもりだろうが顔がひきつって、
          目線がオロオロと店内をさ迷っている。
                ◇  ◇  ◇
          十時。
           風が猛烈に強くなった。駐車場の真ん中に立つ、
          この店のシンボルである樫の木が、右に左に大きく揺れ動き、
          駐車場には木の枝や葉っぱや、
          何だかわからないいろんな物がぴゅんぴゅん飛んでいる。

          「何時になるかわからんが、昼前にはピークを過ぎるはずだから、それから開店しよう」
          という事だったのに、魂消ることにお客さんがやってきた。
          「まあ、この嵐の中をようこそ」
          「なーんも備えがなくてね。少し食べ物を仕入れとかんと心配でね」

           何日も前から大型台風大型台風と言われていても、人間、
          その時にならないとなかなか行動しないものであるらしい。
          吹きまくる風の向こうから、次から次ぎへとお客さんがやって来る。
          強い風の力で自動ドアが開き、風向きが変わるまで閉まらない。
          とうとうスイッチを切って手動ドアになってしまった。

           十一時
           電気が消えた。ついに停電だ。恐怖と焦燥の時間の始まりである。
           お弁当やサンドイッチ、おにぎり、刺身、
          今日しか売れない商品は従業員に押し売りしよう。
          「従業員のみなさーん。お弁当、おにぎり、サンドイッチ、ぜーんぶ一割引だよー。
          さあ買った、かった」
          「なに、一割引? けちー。
          この非常時に。せめて三割引にせんかい」
          「・・・・・・」
          「刺身、さしみーィ。全品三割引だよーん」
          「それみろ。鮮魚は三割引ぜ。弁当も三割引にせんね」
          「えーい。お弁当も三割引―ィ」

           従業員を相手の商売はむずかしいものだ。
          皆喜んで三割引きのお刺身やお弁当を抱えて帰って行った。
                ◇  ◇  ◇
          「早く電灯が点きますように」と、神に祈った甲斐があって、2時30分復旧。
          パッとともった電気の光の、美しくまばゆかった事。
          ほとんどの従業員は帰ってしまって人数も少なく、
          お刺身も弁当も売るものはあまりなかったが、早速また開店した。

          その日の売り上げは平常日の半分以下しかなかったが、
          停電のために閉店した時間は3時間半、
          お客さんにかけた迷惑も最小限度ですんだというものだ。

          お弁当を三割引で売るんじゃなかったという後悔もちらっと頭をかすめたが、
          嵐の中を出勤して来た人達へのごほうびと思えば良い。

          売り上げは少なくても、たくさんの商品を捨てずに済んだことが何よりありがたい。
           神様ありがとうございますと、心の中でつぶやきながら家路についた。

              
          作 荒木紀代子 画 やまだしんご

          〔庶民が創る ふだん着の 《《投稿専門誌》》 アルファ企画 Vol.34 より転載〕





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          Vol.30 接客研修会

          2010.07.27 Tuesday

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